まず三味線の棹の面や端などが本来あるべき状態であることは大前提ではありますが、皮の張り方によって三味線の音色はまったく違ったものになります。一見すると三味線の皮張りは外見上は同じように見えても、張った職人さんが違えば、奏でる音色も全く違ったものになるのです。
皮張り(皮を張る方法)には「手張り」と「機械張り」の二通りあります。
当店でもかつては機械張りも行っていましたが、現在では「手張り」のみにて対応しております。
一枚ごとに異なる特徴や特性のある皮に合わせて微調整しますので、機械張りに比べて繊細な音色を奏でる三味線となります。また当店では跡が残らないように処理しますので、見た目も綺麗に仕上がります。
「皮の厚み」も音色の重要な要素の一つです。
三味線本体の状態も考慮しつつ、最適な皮を選び丁寧に手張りしていきます。
近年、質の良い天然皮の入手は難しくなってきておりますが、当店は豊富なストックの中から三味線の状態やご要望に合わせて皮を選定し皮張りいたします。
胴皮を破けてしまってもすぐに修理に出せな場合は、皮を胴から剥がさずに胴の四隅までハサミなどを使って皮を破き、くり抜くようにしてください。この状態にして保管しておけば胴が歪んだりしてバラけることを防ぐことができます。
皮が裂けた際に適切に処理しておかないと、いざ皮張りする時に胴がばらけてしまい「胴の組み直し」作業が必要となることもあります。