どんなに良い三味線でもツボ(勘所)が減っているとそこを押さえたときの音色は割れてしまって酷いものですし、端が狂っていると(特に高くなってしまっていると)弾きにくくて、ぼやけた音色になってしまいます(先代は音色を聞いただけで端が狂っているかどうか判別できちゃってました)。

この2つの修理調整は大変緻密な作業となります。見た目にはあまり変化がないように感じられることもあるでしょうが音色においては非常に改善がみられます。(※弾き比べなどしてその場で音色を比較できるわけではないのでなかなか気づいていただけない場合も残念ながら多々あります…)

お店にお持ちいただければ大まかにですが三味線の状態をその場で無料診断いたします~※無料だけど要予約!

送っていただいても大丈夫ですので~

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勘減り(かんべり)とは

かんべりビフォーアフター画像
かんべり修理のビフォー(下)アフター(上)

「かんべり(勘減り)している」とは三味線を何度も弾いているうちにツボ(勘所)が減ってきて(削れて深く掘れてきてしまって)いる状態のことをいいます。

お客様から「かんべりお願い」と言われたらそれは「かんべり(勘減り)修理」をやっておいてっていうことを指しています。

かんべり修理したほうがいい場合のいくつかのパターンをご紹介します。

ツボ(勘所)がめっちゃ減ってるパターン

特に2と3の糸において4とか6あたりのツボ(勘所)が減ってきてしまってそのツボ(勘所)を押さえて絃を弾いた際は割れたようななんとも不快な音色が出てしまいます。これは大変「分かりやすい」のでお客様の方から依頼がある場合はだいたいこのパターンです。

あまり深くかんべりしてから修理に出された場合は、その深い箇所だけ埋めて棹面を整えるといった修理内容になることもありますのでかんべりで音が割れだしたら早めの修理をお勧めします!

鳴らないツボ(勘所)が多くあるパターン

このパターンからはこちらからご指摘しないとなかなか気づいていただけないレベルになります。

すべてのツボ(勘所)が鳴る三味線はまずありえないのですが(三味線は日本の文化を反映していい意味で「不完全楽器」なので)、特に多用されるツボ(勘所)、例えば3,4、6、9、10などにおいて鳴らない(音色に伸びがなく詰まってしまう)といった場合は弾いていて非常に気になってしまいます。

これはかんべり(勘減り)しているわけではないのだけれど経年変化などで棹面がデコボコしてしまったことによって起こる現象です。パッと見てでは全然分からなくて細かく見ていくとようやく分かるレベルです(音色では分かります)。

また、以前にやったかんべり修理が良くなかったというのも非常に多く見受けられます。かんべり修理とは減った箇所だけを削ればいいものではなくて棹面全体を整える必要があります。それを良く分かっていない職人さんやもしくは自身でやってしまう男性の方も多く居て、この場合は三味線本来の状態に戻すのが非常に手間取ることになります(修理代金がアップしてしまいます)。

こういった場合でもかんべり(勘減り)修理が必要となってきます。棹面を「削る」というか「整える」という非常に繊細さが必要な修理となります。

下ツボ(14、16や18)の音色の伸びが欲しいパターン

これは特に津軽三味線においてなのですがどうしても下ツボは音の伸びがあまりよろしくなくて詰まりがちだと思います。

職人さんによっては下ツボの音色の伸びを期待するのは諦めて上の方のツボ(3・4・6・9・10)の音色の伸びだけを考えて「棹面の整え方+端調整」をする方もいますが当店では下ツボの鳴らない三味線はどうしても気になってしまって…

実はこれを改善することができまして…

下ツボの音の伸びをだすことができる「棹面の整え方(かんべり修理)+端調整」ってのがあります。

以前は当店で製作した津軽三味線のみ、このような細工(特殊な棹面の造り)をしておりましたが今ではご希望の方にはやらせていただいております~

初めてのお客様の場合は「皮張り」もやっていただく場合が多いですのでご理解お願い致します!

かんべり修理の先には

かんべり修理をすると下記にも記載してますが、端調整が必要になったりすることも多くなります。

そして勘減り修理を何度もしていくと棹の厚みが徐々に減っていくわけですが、そうなってきた場合の弊害として「ホゾが緩くなりやすい」というのがあります。

やはり三味線は日本の伝統文化の一端を担うものとしていえることは「ずっと使い続けることができるものではない」ということが言えると思います。棹を丸ごと交換するとか、面に板を張るとかすればもちろんずっと使い続けることはできますが、楽器としてみた場合はやはりピークってのはあると思いますね、脂がのっている時期っていうかね。ですので三味線という楽器は悪く言うと「消耗品」、良く言えば「形あるものはいずれ…」って感じで日本文化が反映されています。

端(は)とは

端調整 解説画像
上記画像は津軽三味線ではありますが…

先ほども申し上げましたが、先代は音色で端の狂いが分かっちゃう聴覚を持っておりまして、その流れというか今でも我々は非常に端(は)に関しては非常に高いこだわりを持ってしまってます。

どんなに良い皮を強く張ったとしても端(は)が狂ってしては全く意味がないものとなってしまうほど三味線における端(は)は重要です。

端(は)調整したほうがいいときもいくつかのパターンがありますのでご紹介します。

端(は)が高くなるパターン

あれだけ強く絃で引っ張られているのですから経年変化も含めどうしても胴が棹に対して持ち上がってきてしまいます。そのような状態を「端(は)が高い」と言ったりします。

こうなってしまうと非常にぼやけた音色となってしまい、聞いていて気持ちの良いものではなくなってしまいます。

捻じれるパターン

また、経年変化というかその木の性質とかもあるのですが、捻じれてきたりする場合があります。

捻じれると1の糸側と3の糸側の端(は)高さが変わってしまい、そうすると例えば1の糸側の音色に比較して3の糸側の音色は音が小さくなったりと鳴らないような感じに陥ります。

かんべり(勘減り)修理して端(は)が狂ってしまったパターン

かんべり(勘減り)修理した際は棹面の高さが変わってしまうので端(は)調整が必要になることも多いです。

「中子(なかご)※もしくは中木(なかぎ)」が外れてしまったパターン

中子(中木)外れ画像

上記画像のようになってしまうと「中子(なかご)※中木(なかぎ)とも言う」が外れたっていう状況です。

なんか糸(絃)が高くて弾きづらいなぁという場合も実はこのようになっていたりします。

ここは端(は)調整するために外れる構造になっているのですが、外れるにはいくつかの原因が考えられます。

倒したとかショックを与えてしまった場合

三味線は体積の割には非常に重い楽器ですので落としたりした際の衝撃はとても大きくなります。そうした際に棹のホゾに衝撃が流れないよう(※もし流れたらヒビや割れ、折れというもっと悲惨な状況になります)「中子(なかご)※中木(なかぎ)とも言う」が外れて(※もしくは天神が外れて)衝撃を逃がしてくれています。

このようにショックで外れてしまった中子を取り付ける際にもともと端が狂っていた三味線の場合は調整が必要となります。

仕込み口が緩い場合

純粋にショックだけで外れることもあるのですが「ショック+仕込み口のガタ」が原因の場合もあります。

仕込み口が緩いとわずかなショックでも中子が外れます。

この場合は中子取付+端調整に加えて仕込み口のガタ(緩み)直しという修理が加わってきます。

中子の取付がもともと悪い場合

中子の取付って加減具合がなかなか難しんです。

外れるようにしておかなきゃいけないんだけど、すぐに外れては困るし

やはりこれも男性の場合、ご自身で取付てしまったりだとか、以前にやった職人さんの仕事が良くなかったりってのが多く見受けられてですね、結果高いものについてしまうということがあります。

端(は)調整のいくつかのやり方

うまい下手はともかくどんな職人さんでもかんべり修理は自分でやられるんですよ、本当にピンキリですけどね、理論を分かっていない職人さんは全くもって酷いかんべり修理をします。

でも端(は)調整はそうはいかないんですよ

端(は)調整は本来は「中子(なかご)※中木(なかぎ)と言う場合もある」という箇所をいじってやるものなのですが、非常に精緻な技術を要求される修理なので三味線屋さん(職人さん)によっては実のところ出来なかったり、もしくは面倒くさがったりするようです。

ですので、そういった三味線屋さん(職人さん)は胴面を削ったりとか端(は)が狂わないように棹面を偏って削ったり(かんべり修理)、津軽三味線の場合ですとりんどう金具で調整したりとかうまく手抜きしてやったりしています。

いずれ、そういった手抜きの修理調整では対応できなるときがくるのですが、そういったお三味線が結構当店に持ち込まれます。結局のところ他のお店で手に負えなくなって当店にくるみたいな…そんな感じです。こういう状況になってしまった場合の修理は余計に困難さが増し、非常に手間取ってしまいます。そうすると当然、金額も高くかかってしまいます。

しかもパッと見ではなかなか分かりづらいものですら、のような状況をお客様に説明しご理解いただくのもこれまたなかなか大変でして…