どんなに良い三味線でもツボ(勘所)が減っているとそこを押さえたときの音色は割れてしまって酷いものですし、端が狂っていると(特に高くなってしまっていると)弾きにくくて、ぼやけた音色になってしまいます(先代は音色を聞いただけで端が狂っているかどうか判別できちゃってました)。

この2つの修理調整は大変緻密な作業となります。見た目にはあまり変化がないように感じられることもあるでしょうが音色においては非常に改善がみられます。(※弾き比べなどしてその場で音色を比較できるわけではないのでなかなか気づいていただけない場合も残念ながら多々あります…)

かんべり(勘減り)修理

かんべりビフォーアフター画像
かんべり修理のビフォー(下)アフター(上)

「かんべり(勘減り)している」とは三味線を何度も弾いているうちにツボ(勘所)が減ってきて(削れて深く掘れてきてしまって)いる状態のことをいいます。

お客様から「かんべりお願い」と言われたらそれは「かんべり(勘減り)修理」をやっておいてっていうことを指しています。

かんべり修理したほうがいい場合のいくつかのパターンをご紹介します。

ツボ(勘所)がめっちゃ減ってるパターン

特に2と3の糸において4とか6あたりのツボ(勘所)が減ってきてしまってそのツボ(勘所)を押さえて絃を弾いた際は割れたようななんとも不快な音色が出てしまいます。これは大変「分かりやすい」のでお客様の方から依頼がある場合はだいたいこのパターンです。

鳴らないツボ(勘所)が多くあるパターン

このパターンからはこちらからご指摘しないとなかなか気づいていただけないレベルになります。

すべてのツボ(勘所)が鳴る三味線はまずありえないのですが(三味線は日本の文化を反映していい意味で「不完全楽器」なのです)、特に多用されるツボ(勘所)、例えば3,4、6、9、10などにおいて鳴らない(音色に伸びがなく詰まってしまう)といった場合があります。

これはかんべり(勘減り)しているわけではないのだけれど経年変化などで棹面がデコボコしてしまったことによって起こる現象です。パッと見てでは全然分からなくて細かく見ていくとようやく分かるレベルです(音色ではすぐ分かります)

こういった場合でもかんべり(勘減り)修理が必要となってきます。棹面を「削る」というか「整える」という非常に繊細さが必要な修理となります。

下ツボ(14、16や18)の音色の伸びが欲しいパターン

これは特に津軽三味線においてなのですがどうしても下ツボは音の伸びがあまりよろしくなくて詰まりがちだと思います。

実はこれを改善することができまして…

下ツボの音の伸びをだすことができる「棹面の整え方(かんべり修理)」ってのがあります。

以前は当店で製作した津軽三味線のみ、このような細工(特殊な棹面の造り)をしておりましたが今ではご希望の方にはやらせていただいております~

端(は)調整

端調整 解説画像
上記画像は津軽三味線ではありますが…

先ほども申し上げましたが、先代は音色で端の狂いが分かっちゃう聴覚を持っておりまして、その流れというか今でも我々は非常に端(は)に関しては非常に高いこだわりを持ってしまってます。

どんなに良い皮を強く張ったとしても端(は)が狂ってしては全く意味がないものとなってしまうほど三味線における端(は)は重要です。

端(は)調整したほうがいいときもいくつかのパターンがありますのでご紹介します。

端(は)が高くなるパターン

あれだけ強く絃で引っ張られているのですから経年変化も含めどうしても胴が棹に対して持ち上がってきてしまいます。そのような状態を「端(は)が高い」と言ったりします。

こうなってしまうと非常にぼやけた音色となってしまい、聞いていて気持ちの良いものではなくなってしまいます。

捻じれるパターン

また、経年変化というかその木の性質とかもあるのですが、捻じれてきたりする場合があります。

捻じれると1の糸側と3の糸側の端(は)高さが変わってしまい、そうすると例えば1の糸側の音色に比較して3の糸側の音色は音が小さくなったりと鳴らないような感じに陥ります。

かんべり(勘減り)修理して端(は)が狂ってしまったパターン

かんべり(勘減り)修理した際は棹面の高さが変わってしまうので端(は)調整が必要になることも多いです。

「中子(なかご)※もしくは中木(なかぎ)」が外れてしまった場合

中子(中木)外れ画像

上記画像のようになってしまうと「中子(なかご)※中木(なかぎ)とも言う」が外れたっていう状況です。

なんか糸(絃)が高くて弾きづらいなぁという場合も実はこのようになっていたりします。

ここは端(は)調整するために外れる構造になっているのですが、外れるにはいくつかの原因が考えられます。

倒したとかショックを与えてしまった場合

三味線は体積の割には非常に重い楽器ですので落としたりした際の衝撃はとても大きくなります。そうした際に棹のホゾに衝撃が流れないよう(※もし流れたらヒビや割れ、折れというもっと悲惨な状況になります)「中子(なかご)※中木(なかぎ)とも言う」が外れて(※もしくは天神が外れて)衝撃を逃がしてくれています。

純粋にショックだけで外れることもあるのですが「ショック+仕込み口のガタ」が原因の場合もあります

端(は)調整のいくつかのやり方

端(は)調整は本来は「中子(なかご)※中木(なかぎ)と言う場合もある」という箇所をいじってやるものなのですが、非常に精緻な技術を要求される修理なので三味線屋さん(職人さん)によっては実のところ出来なかったり、もしくは面倒くさがったりするようです。ですので、そういった三味線屋さん(職人さん)は胴面を削ったりとか端(は)が狂わないように棹面を偏って削ったり(かんべり修理)、津軽三味線の場合ですとりんどう金具で調整したりとかうまく手抜きしてやったりしています。

いずれ、そういった手抜きの修理調整では対応できなるときがくるのですが、そういったお三味線が結構当店に持ち込まれます。結局のところ他のお店で手に負えなくなって当店にくるみたいな…そんな感じです。こういう状況になってしまった場合の修理は余計に困難さが増し、非常に手間取ってしまいます。そうすると当然、金額も高くかかってしまいます。

しかもパッと見ではなかなか分かりづらいものですら、のような状況をお客様に説明しご理解いただくのもこれまたなかなか大変でして…