どんなに良い三味線でもツボ(勘所)が減っている(勘べりと言います)とそこを押さえたときの音色は割れてしまって酷いものですし、どんなに良い皮をバッチリ張ってあっても端が狂っていると(特に高くなってしまっていると)弾きにくくて、ぼやけた音色になってしまいます(先代は音色を聞いただけで端が狂っているかどうか判別できちゃってました)。

この2つの修理調整は大変緻密な作業となります。見た目にはあまり変化がないように感じられることもあるでしょうが音色においては非常に改善がみられます。特に狂いの激しかった三味線にこのような修理を施せば新品当時の音色が戻ってくる可能性があります。

お店にお持ちいただければ大まかにですが三味線の状態をその場で診断いたします~※無料だけど要予約! 送っていただいても大丈夫ですので~

当店で修理するとなった場合は正式な見積もりもお出ししますが作業に入りながら途中、もしくはもうすぐ完了というあたりで正式な金額をご提示することになります(作業途中に不具合が見つかることも多々あるため)。ですので「三味線を良くするためなら多少の予算増はしょうがない」という方ならいいのですがあまり細かく金額を気にされる方は当店のスタイルですとちょっとご対応が難しいかもしれません…

ご興味ある方は以下をお読みいただき、お問合せフォームやSNSもしくはEメール(info@syamisen.com)でお気軽にお問合せくださいませ~

勘減り(かんべり)とは

かんべりビフォーアフター
左:かんべりアフター、右:かんべりビフォー

「かんべり(勘減り)している」とは三味線を何度も弾いているうちに棹面のツボ(勘所)が減ってきて(削れて深く掘れてきてしまって)いる状態のことをいいます。

馴染みのお客様から「かんべりお願い」と言われたらそれは「かんべり(勘減り)修理」をやっておいてっていうことを指しています。

ちなみにお店によってはとっても安い価格でかんべり修理をしているところもあるようですがおそらくというか間違いなく価格相応、それどころかかなり酷いかんべり修理をやっている感じがするんですよね…良く見かけるのが減ってきたツボの周辺だけを削って綺麗にするパターン。安いお店は技術力が無いのか三味線の仕組みを良く分かっていないせいか見た目だけを何とか整えようとしてきます。その周辺だけ削るというこのとんでもない勘べり修理をしてしまうと後に大きな代償を払わなければいけない時期がやってきます。重要なのは棹面全体を緻密に「整える」ことです。4とか6のあたりだけが減っていたとしても全てのツボを診なければなりません。

このような酷いかんべり修理を施してしまっている三味線を当店ではご新規のお客様で良く見かけるわけですが、この酷い状態から本来の状態へと戻すのは今まで以上に非常に手間がかかってしまうわけです。勘べり修理というのは綺麗に削るというよりは棹面を整える精密作業ですので一度へんな手を入れてしまうと復旧が非常に大変なものとなってしまいます。

あともうひとつ、勘べり修理と併せてやる端(は)調整という修理があるのですが、この端調整は勘べり修理よりももっと難易度の高い修理で苦手、もしくは出来ないお店が結構あったりします。このようなお店にかんべり修理を出すと端調整をやらない前提でかんべり修理をするもんですから、この手抜きの勘減り修理は最初の1-2回まではいいのですがそれ以降になるともう端調整せずにはいれなくなってきてしまい、しかも棹面をなんとかやりくりしてきたかんべり修理なのでちゃんと端調整とかんべり修理をしようとするとその回のかんべり修理はめっちゃ手間のかかるものとなります。

もしくは、表面の張り替えがある場合は胴面を削って端(は)調整をしちゃったりという荒業を繰り出している三味線屋さんも良く見かけますが、これは普通に考えていづれ胴を交換しなきゃならないという落とし穴が待ち受けています。

ということで当店は他のお店でかんべり修理とかしてたけど今は全然音色が良くないからなんとかなりますかっていう依頼が多いのですが、通常以下のような状況であったらかんべり修理をしましょうって感じになりますのでいくつかのパターンをご紹介します。

ツボ(勘所)がめっちゃ減ってるパターン

特に2と3の糸において4とか6とか9あたりのツボ(勘所)は頻繁に使われる勘所(かんどころ)のため、その個所の棹面の減りが早くて、だんだんと削れて深く掘れてきてしまったりします。

そうなると特に下のほうのツボ、 下のツボへ行くほど隣のツボとの距離は近くなっていくわけですが、 例えば9あたりのツボが深く掘れていたりすると、そこのツボを押さえたとき、絃を弾いたときに振動した絃が隣の10のツボに当たってしまったりするわけです。

そうすると割れたようななんとも不快な音色が出てしまって、これが勘べりした際に修理をしなければならない理由であり、勘べりの際の不快な音色の仕組みであります。

この状態をしばらく放置したまま、さらに勘べりが深くなっていってから修理に出された場合は、その深い箇所だけ埋めて(アロンアルファ系の接着剤を使用)、棹面を整えるといった修理内容になることもあります。

そうした場合はそこの部分だけ、接着剤を使用した箇所だけ光ってしまいますのでご容赦ください。ちなみに棹の材質によってはそこの箇所だけ非常の減りがはやかったりするものもあり、そうした場合も上記のように接着剤を使用して埋めたりの修理対応となります。

鳴らないツボ(勘所)が多くあるパターン

このパターンからはこちらからご指摘しないとなかなか気づいていただけないレベルになります。

すべてのツボ(勘所)が鳴る三味線はまずありえないのですが(三味線は日本の文化を反映していい意味で「不完全楽器」なので)、特に多用されるツボ(勘所)、例えば3,4、6、9、10などにおいて鳴らない(音色に伸びがなく詰まってしまう)といった場合は弾いていて非常に気になってしまいます。

これはかんべり(勘減り)しているわけではないのだけれど経年変化などで棹面がデコボコしてしまったことによって起こる現象です。パッと見てでは全然分からなくて細かく見ていくとようやく分かるレベルです(音色では分かります)。

また、以前にやったかんべり修理が良くなかったというのも非常に多く見受けられます。かんべり修理とは減った箇所だけを削ればいいものではなくて棹面全体を整える必要があります。それを良く分かっていない職人さんやもしくは自身でやってしまう男性の方も多く居て、この場合は三味線本来の状態に戻すのが非常に手間取ることになります(修理代金がアップしてしまいます)。

こういった場合でもかんべり(勘減り)修理が必要となってきます。棹面を「削る」というか「整える」という非常に繊細さが必要な修理となります。

下ツボ(14、16や18)の音色の伸びが欲しいパターン

これは特に津軽三味線においてなのですがどうしても下ツボは音の伸びがあまりよろしくなくて詰まりがちだと思います。

職人さんによっては下ツボの音色の伸びを期待するのは諦めて上の方のツボ(3・4・6・9・10)の音色の伸びだけを考えて「棹面の整え方+端調整」をする方もいますが当店では下ツボの鳴らない三味線はどうしても気になってしまって…

実はこれを改善することができまして…

下ツボの音の伸びをだすことができる「棹面の整え方(かんべり修理)+端調整」ってのがあります。

以前は当店で製作した津軽三味線のみ、このような細工(特殊な棹面の造り)をしておりましたが今ではご希望の方にはやらせていただいております~

初めてのお客様の場合は「皮張り」もやっていただく場合が多いですのでご理解お願い致します!

また、棹面や端の状況次第ではお断り、もしくはできない場合がありますのでご容赦くださいませ~

技術力の無いお店でかんべり修理をやってしまったパターン

最初のほうでも書かせていただきましたが、とにかく安いかんべり修理は危険です。そのようなかんべり修理はやる意味がありません。どちらかというと状況をさらに悪化させているようなものです。

ですが、高い料金をとっていても端調整をしないという前提のもとにかんべり修理をするお店もなかなか危険です。

さらにいうと表面の皮張りも併せてやる場合に胴面を削るやり方での端調整をやるお店も相当危険ですのでご注意を。こういったお店は三味線の構造を理解はしているのですが自身で端調整をできないのでこのような手法をとってしまいます。胴面を削っていったら胴の重ねが薄くなってしまい、胴の重ねはその三味線の音色に影響を与えますので、そして胴の重ねが薄いと音色が落ちていってしまいます。

かんべり修理の先には

かんべり修理をすると下記にも記載してますが、端調整が必要になったりすることも多くなります。また、皮張り(表面)をお勧めする場合もあります。

そして勘減り修理を何度もしていくと棹の厚みが徐々に減っていくわけですが、そうなってきた場合の弊害として「ホゾが緩くなりやすい」というのがあります。

やはり三味線は日本の伝統文化の一端を担うものとしていえることは「ずっと使い続けることができるものではない」ということが言えると思います。棹を丸ごと交換するとか、面に板を張るとかすればもちろんずっと使い続けることはできますが、楽器としてみた場合はやはりピークってのはあると思いますね、脂がのっている時期っていうかね。ですので三味線という楽器は悪く言うと「消耗品」、良く言えば「形あるものはいずれ…」って感じで日本文化が反映されています。

端(は)とは

端調整 解説画像
上記画像は津軽三味線ではありますが…

先ほども申し上げましたが、先代は音色で端の狂いが分かっちゃう聴覚を持っておりまして、その流れというか今でも我々は非常に端(は)に関しては非常に高いこだわりを持ってしまってます。

どんなに良い皮を強く張ったとしても端(は)が狂ってしては全く意味がないものとなってしまうほど三味線における端(は)は重要です。津軽三味線のプレイヤーで、けっこう端のことも分からず、状態の悪いまま弾いていらっしゃる方を多くお見受けいたしますね~

端(は)調整したほうがいいときもいくつかのパターンがありますのでご紹介します。

端(は)が高くなるパターン

あれだけ強く絃で引っ張られているのですから経年変化も含めどうしても胴が棹に対して持ち上がってきてしまいます。そのような状態を「端(は)が高い」と言ったりします。

こうなってしまうと非常にぼやけた音色となってしまい、聞いていて気持ちの良いものではなくなってしまいます。

捻じれるパターン

また、経年変化というかその木の性質とかもあるのですが、捻じれてきたりする場合があります。

捻じれると1の糸側と3の糸側の端(は)高さが変わってしまい、そうすると例えば1の糸側の音色に比較して3の糸側の音色は音が小さくなったりと鳴らないような感じに陥ります。

かんべり(勘減り)修理して端(は)が狂ってしまったパターン

かんべり(勘減り)修理した際は棹面の高さが変わってしまうので端(は)調整が必要になることも多いです。

「中子(なかご)※もしくは中木(なかぎ)」が外れてしまったパターン

中子(中木)外れ画像

上記画像のようになってしまうと「中子(なかご)※中木(なかぎ)とも言う」が外れたっていう状況です。

なんか糸(絃)が高くて弾きづらいなぁという場合も実はこのようになっていたりします。

ここは端(は)調整するために外れる構造になっているのですが、外れるにはいくつかの原因が考えられます。

倒したとかショックを与えてしまった場合

三味線は体積の割には非常に重い楽器ですので落としたりした際の衝撃はとても大きくなります。そうした際に棹のホゾに衝撃が流れないよう(※もし流れたらヒビや割れ、折れというもっと悲惨な状況になります)「中子(なかご)※中木(なかぎ)とも言う」が外れて(※もしくは天神が外れて)衝撃を逃がしてくれています。

このようにショックで外れてしまった中子を取り付ける際にもともと端が狂っていた三味線の場合は調整が必要となります。

仕込み口が緩い場合

純粋にショックだけで外れることもあるのですが「ショック+仕込み口のガタ」が原因の場合もあります。

仕込み口が緩いとわずかなショックでも中子が外れます。

この場合は中子取付+端調整に加えて仕込み口のガタ(緩み)直しという修理が加わってきます。

中子の取付がもともと悪い場合

中子の取付って加減具合がなかなか難しんです。

外れるようにしておかなきゃいけないんだけど、すぐに外れては困るし

やはりこれも男性の場合、ご自身で取付てしまったりだとか、以前にやった職人さんの仕事が良くなかったりってのが多く見受けられてですね、結果高いものについてしまうということがあります。

端(は)調整のいくつかのやり方

うまい下手はともかくどんな職人さんでもかんべり修理は自分でやられるんですよ、本当にピンキリですけどね、理論を分かっていない職人さんは全くもって酷いかんべり修理をします。

でも端(は)調整はそうはいかないんですよ

端(は)調整は本来は「中子(なかご)※中木(なかぎ)と言う場合もある」という箇所をいじってやるものなのですが、非常に精緻な技術を要求される修理なので三味線屋さん(職人さん)によっては実のところ出来なかったり、もしくは面倒くさがったりするようです。

ですので、そういった三味線屋さん(職人さん)は胴面を削ったりとか端(は)が狂わないように棹面を偏って削ったり(かんべり修理)、津軽三味線の場合ですとりんどう金具で調整したりとかうまく手抜きしてやったりしています。

いずれ、そういった手抜きの修理調整では対応できなるときがくるのですが、そういったお三味線が結構当店に持ち込まれます。結局のところ他のお店で手に負えなくなって当店にくるみたいな…そんな感じです。こういう状況になってしまった場合の修理は余計に困難さが増し、非常に手間取ってしまいます。そうすると当然、金額も高くかかってしまいます。

しかもパッと見ではなかなか分かりづらいものですら、のような状況をお客様に説明しご理解いただくのもこれまたなかなか大変でして…